ある県で10年後に必要となるEV用急速充電器の設置台数
- フェルミ推定
- 難易度:応用
- 目安 20分
人口200万人のある県で、10年後に必要になるEV(電気自動車)用の急速充電器の台数を推定してください。
前提の置き方は複数ありえます。どの前提を選び、なぜそれを選んだのかを説明しながら進めてください。
まず時間を計って、声に出して解いてみてください。行き詰まったらヒントを1つずつ開き、解き終えてから解説を確認します。
ヒント 1 を見る
「必要台数 = 1日の急速充電の総回数 ÷ 充電器1台が1日にこなせる回数」が基本形です。需要側と供給側の両方に前提が要ります。
ヒント 2 を見る
10年後のEV台数は「県内の自動車保有台数 × EV比率」で置きます。EV比率は保有ベースか新車販売ベースかで大きく違うので、どちらを使うかを明確にしましょう。
ヒント 3 を見る
急速充電を使うのは全EVではありません。自宅で普通充電できる人と、できない人(集合住宅など)で急速充電への依存度が変わります。
解説を表示する解答の流れ・数値例・評価のポイント・よくあるNG・発展問題
前提の確認
この問題は、前提の置き方によって答えが数倍変わります。そのため最初に「どの前提を選ぶか」を明示し、面接官とすり合わせることが評価の中心になります。
- 対象:商業施設や道の駅、高速道路などに置かれる公共の急速充電器。自宅や事業所の普通充電器は含めない
- 「必要」の定義:連休などのピーク日ではなく、平均的な1日 の充電需要を、待ち時間が長くなりすぎない稼働率で賄える台数とする
- EV比率の取り方:新車販売に占める比率ではなく、道路を走っている車全体に占める 保有ベース の比率を使う(充電需要を生むのは保有台数のため)
- 県の設定:人口200万人、自動車への依存度が高い地方の県
解答の流れ
1. 式に分解する
必要台数 = 1日の急速充電の総回数 ÷ 充電器1台が1日にこなせる回数
2. 10年後のEV台数を置く
- 自動車保有台数:1世帯2.5人として世帯数を 80万世帯(仮定)、地方では1世帯に複数台が普通なので 1世帯1.7台(仮定) と置き、80万 × 1.7 = 136万台 → 約140万台
- 10年後のEV比率:保有車は毎年1割程度しか入れ替わらないため、新車販売でEVが増えても保有ベースの比率はゆっくり上がります。基本ケースとして 15%(仮定) と置き、幅として10〜25%を持たせます
140万台 × 0.15 = 21万台
3. 急速充電の総回数を置く
急速充電への依存度は、自宅で充電できるかどうかで分かれます。
- 自宅充電ができる層(戸建て中心):EVの 70%(仮定)。遠出のときだけ使うため、月 1回(仮定)
- 自宅充電ができない層(集合住宅など):EVの 30%(仮定)。給油の代わりに使うため、月 6回(仮定)
21万台 × 0.7 × 1回 ÷ 30日 = 4,900回 21万台 × 0.3 × 6回 ÷ 30日 = 12,600回 合計 = 1日17,500回
4. 充電器1台がこなせる回数を置く
1回の充電を 30分(仮定) とすると理論上は1日48回ですが、深夜はほとんど使われず、日中も常に埋まっているわけではありません。待ち時間が過度にならない水準として理論値の2割程度、1日10回(仮定) と置きます。
5. 計算する
17,500回 ÷ 10回 = 1,750台 → 約1,800台
EV比率を10〜25%に振ると、台数は比例して約1,200〜2,900台になります。基本ケースとして およそ1,500〜2,000台 と結論づけ、上下に振れる主因がEV比率であることを添えます。
妥当性の確認
充電器の処理能力の前提を使わずに、ガソリンスタンドとの類推で桁を確認します。県内のガソリンスタンドを人口2,500人に1か所として 800か所(仮定)、1か所に給油ノズルが 4本(仮定) あるとすると3,200本で、140万台 ÷ 3,200本 = 約440台に1本です。急速充電は1回30分で給油(5分程度)の6倍の時間がかかるため、給油と同じ頻度で公共充電に頼るなら440 ÷ 6 = 約73台に1基必要で、21万台 ÷ 73 = 約2,900基となります。
これは「全員が公共充電に依存する」場合の上限にあたります。自宅充電ができる層が7割いる前提の1,800台は、この上限を下回りつつ同じ桁に収まっており、整合していると判断できます。
評価のポイント
| 観点 | 見られていること |
|---|---|
| 前提の設計 | 「平均日かピーク日か」「保有ベースか新車ベースか」など、分岐する前提を自分で見つけて選べたか |
| 選択の根拠 | 選んだ前提について、なぜそれが問いに合うのかを説明できたか |
| 感度の把握 | どの前提が答えを最も大きく動かすかを特定し、幅として示せたか |
| 検算 | 充電器側の前提に依存しない別アプローチで、桁と上限を確かめられたか |
よくあるNG
- 新車販売のEV比率をそのまま保有台数に掛け、10年後のEV台数を数倍に過大評価する
- 全EVが同じ頻度で急速充電を使うと置き、自宅充電の存在を無視する
- 連休のピーク需要を基準にして「必要」を定義し、平均日の何倍もの台数を答える
- 前提が複数ありうることに触れず、ひとつの数字だけを言い切って終える
発展問題
同じ県で、算出した台数の充電器を どこに、どのような密度で配置すべきか を考えてください。幹線道路沿い、商業施設、集合住宅の近くなど、利用シーンごとの需要の集まり方を前提として置き、台数を配分します。需要の地理的な偏りを前提に落とし込めるかが問われます。
※ 本問の数値はすべて説明のための仮定であり、実際の統計値とは異なります。
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