Case Practice

日本国内のスマートフォンQRコード決済の年間取扱高

  • フェルミ推定
  • 難易度:標準
  • 目安 15分
設問

日本国内で、スマートフォンのQRコード決済によって1年間に支払われる金額の合計(年間取扱高)を推定してください。
推定にあたって置いた前提と数値は、すべて口に出して説明してください。

まず時間を計って、声に出して解いてみてください。行き詰まったらヒントを1つずつ開き、解き終えてから解説を確認します。

ヒント 1 を見る

支払う側から「利用者数 × 1人あたりの年間利用回数 × 1回あたりの支払額」に分解すると、それぞれの数値に根拠を添えやすくなります。

ヒント 2 を見る

利用者を「毎日のように使う人」と「たまに使う人」に分けると、平均の利用頻度を置く根拠が説明しやすくなります。

ヒント 3 を見る

結果が出たら、家計の消費支出の総額のうちQRコード決済で払われている割合はどの程度か、という別の角度から桁を確かめましょう。

解説を表示する解答の流れ・数値例・評価のポイント・よくあるNG・発展問題

前提の確認

最初に、面接官と次の点をすり合わせます。ここで置いた前提は、以降の数値の根拠になります。

  • 対象:スマートフォンのアプリでQRコードやバーコードを読み取る、または提示して支払う決済。クレジットカードのタッチ決済や交通系ICカードは含めない
  • 範囲:日本国内の個人による店舗やサービスへの支払い。個人間の送金は含めない
  • 取扱高の定義:決済事業者が受け取る手数料ではなく、利用者が支払った金額の合計

解答の流れ

1. 式に分解する

年間取扱高 = 利用者数 × 1人あたり年間利用回数 × 1回あたり支払額

2. 利用者数を置く

日本の人口を 約1.25億人(仮定) とし、そのうちスマートフォンを持つ人を 8割の約1億人(仮定) と置きます。さらに、QRコード決済を月1回以上使う人を その半分の5,000万人(仮定) とします。高齢層では利用が少なく、若年から中年層では広く使われていることを踏まえた水準です。

3. 1人あたり年間利用回数を置く

利用者を2つの層に分けます(仮定)。

  • 日常的に使う人(利用者の2割):コンビニや飲食店でほぼ毎日使い、月20回
  • たまに使う人(利用者の8割):ポイント還元のある店や特定の店舗だけで使い、月5回

加重平均は「0.2 × 20 + 0.8 × 5 = 8回/月」となり、年間では96回です。丸めて 約100回 とします。

4. 1回あたり支払額を置く

利用の中心はコンビニ、飲食店、ドラッグストアなどの少額の買い物です。数百円から数千円の幅を考え、1回あたり1,500円(仮定) と置きます。

5. 計算する

5,000万人 × 100回 × 1,500円 = 7.5兆円

有効数字を考えて、年間およそ7〜8兆円 と結論づけます。

妥当性の確認

家計の消費の側から桁を確認します。1人あたりの年間消費支出を 200万円(仮定) と置くと、人口1.25億人で国内の家計消費は約250兆円です。このうち、食料品・日用品・外食・交通など、QRコード決済で支払いうる少額の消費を 4割の100兆円(仮定) とします。この100兆円のうちQRコード決済で払われる割合が 7〜8%(仮定) であれば、取扱高は7〜8兆円となり、積み上げの結果と桁が一致します。

残りはクレジットカード、現金、電子マネーで払われていると考えれば、この割合に大きな違和感はありません。もし検算の割合が3割といった水準になるようであれば、利用者数か利用頻度のどちらかを置き直す必要があります。

評価のポイント

観点 見られていること
前提確認 「QRコード決済」の範囲や、個人間送金を含めるかを、聞かれる前に自分から定義できたか
分解 「人数 × 回数 × 単価」という、根拠を説明しやすい式に落とせたか
数値の置き方 利用頻度を一律に置かず、利用者の層で分けて根拠を添えられたか
検算 家計消費に占める割合という、別の角度から桁を確認できたか

よくあるNG

  • 「キャッシュレス決済全体」を推定してしまい、QRコード決済という対象から外れる
  • 利用回数を自分の感覚だけで「毎日1回」と置き、使わない層や頻度の低い層を無視する
  • 計算した金額を「7.5兆円です」と言い切り、丸めや幅を示さない
  • 検算で出た値が合わなかったときに、どの前提を見直すべきかを説明できない

発展問題

同じ前提を使って、QRコード決済事業者が受け取る年間の加盟店手数料の合計 を推定してください。手数料率を仮定として置いたうえで、利用者1人あたりの年間手数料と、ポイント還元として利用者に戻す金額を比べ、決済事業者が手数料だけで採算を取れるかを議論してください。

※ 本問の数値はすべて説明のための仮定であり、実際の統計値とは異なります。

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