社会人になって数年、あるいは1年に満たないタイミングで、「やはり戦略コンサルに挑戦したい」と考える方は少なくありません。一方で、「経験が浅くて書くことがない」「新卒のときに落ちたので、もう無理ではないか」といった不安を抱える方も多いはずです。
本記事では、20代・第二新卒で戦略コンサルティングファームを目指す方に向けて、ポテンシャル採用で見られる点、社会人経験が短い場合の職務経歴書の書き方、新卒時に不合格だった方の再挑戦、そして早く挑戦することの利点と留意点を整理します。
※ 本記事は一般的な傾向をまとめたものです。採用方針や選考の形式は、ファームや時期、応募ポジションによって異なります。また「第二新卒」の定義そのものも企業によって幅があります。
経験が浅い応募はどう位置づけられるか
戦略ファームの中途採用では、応募者の経験年数に応じて見られる観点の比重が変わると言われます。社会人経験が短い方の場合、これまでの実績の大きさよりも、今後どれだけ伸びるかという観点、いわゆるポテンシャルの比重が相対的に高くなる傾向があります。
これは「経験がなくてもよい」という意味ではありません。短い期間であっても、その中で何を考え、どう動いてきたかは必ず見られます。むしろ、材料が限られているぶん、一つひとつのエピソードをどれだけ深く語れるかが評価を左右すると考えておくとよいでしょう。
ポテンシャル採用で見られる4つの点
1. 考える力の素地
ケース面接やディスカッションを通じて確認されるのは、知識の量ではなく思考の進め方です。具体的には、次のような点が見られていると考えられます。
- 漠然としたテーマから、何を明らかにすべきか(論点)を自分で設定できるか
- 論点を、重なりや漏れの少ない形に分解できるか
- 自分なりの仮説を持ち、それを検証する筋道を描けるか
- 指摘を受けたときに、固執せず考えを更新できるか
最後の点は特に重要です。面接官からの問い返しに対して防御的になるか、素直に受け止めて考え直せるかは、入社後の伸びしろを推し量る材料になると言われます。
2. 学習の速さ
未経験の業界やテーマを短期間でキャッチアップする場面が多いため、新しい情報を吸収して自分の言葉にするまでの速さは重視されやすい観点です。現職で、初めての領域を任されてどう立ち上げたかといったエピソードが材料になります。
3. 仕事への向き合い方
与えられた範囲をこなすだけでなく、目的を理解して自分から動いたことがあるか。細部の品質にこだわった経験があるか。こうした姿勢は、経験年数が短くても十分に示すことができます。
4. 伝える力
短く、構造的に話せるか。結論から入り、根拠を添えられるか。面接そのものがこの能力の実技試験でもあります。
社会人経験が短い場合の職務経歴書
職務経歴書の基本的な構成や書き方は経験年数にかかわらず共通ですが、社会人経験が短い場合には、いくつか意識しておきたい点があります。
小さな仕事こそ、深く書く
「大きなプロジェクトを任されていない」という理由で書くことがないと感じる方は多いのですが、規模の大小は評価の本質ではありません。日々の業務のなかで、次のような瞬間を探してみてください。
- 非効率な手順に気づき、自分で改善した
- 前提を疑って確認したところ、誤りが見つかった
- 依頼された作業の目的を聞き、別のより良い方法を提案した
- 顧客や他部署とのやりとりで、対立する要望を調整した
こうした経験を「課題→自分の解釈→打ち手→結果」の形で書くと、規模が小さくても思考の質は十分に伝わります。
職務要約は「何を学んできたか」で書く
実績の列挙が難しい段階では、職務要約を実績の要約ではなく、どのような環境で何を身につけてきたかの要約として書くほうが自然です。そのうえで、応募先で活かしたい力に接続させます。
学生時代の経験の扱い
社会人経験が短い場合、学生時代の経験(研究、長期インターン、部活動、留学など)に触れること自体は問題ありません。ただし、扱い方には注意が必要です。
| 書き方 | 読み手の受け取り方 |
|---|---|
| 学生時代の話が中心で、現職の記述が薄い | 現職に真剣に向き合っていないのではないか、と見られやすい |
| 現職の経験を主軸に、学生時代を補足として添える | 一貫した志向や思考の癖が伝わりやすい |
避けたい書き方
- 担当業務の羅列だけで、自分の考えや判断が見えない
- 社内用語や略語をそのまま使い、外部の読み手に伝わらない
- 現職への不満が読み取れる表現になっている
なお、職務経歴書の構成や実績の書き換え方については、別のコラムでより詳しく扱っています。あわせてご覧ください。
短い在籍期間をどう説明するか
在籍期間が短いこと自体は、隠すべきものではありません。むしろ、次の2点を説明できるかが問われます。
- 現職で何に本気で取り組んだか:期間の長短にかかわらず、目の前の仕事に真剣に向き合った事実があるか
- なぜ今動くのか:「合わなかったから」ではなく、「この経験を通じて、こういう仕事に取り組みたいと考えるに至った」という前向きな説明ができるか
前職・現職を否定する語り方は、どの応募先でも印象を損ないやすい伝え方です。学んだことを認めたうえで、志向の変化として説明するほうが伝わります。
新卒選考で不合格だった方の再挑戦
新卒の就職活動でコンサルティングファームを受け、不合格だったという方もいらっしゃるでしょう。結論から言えば、再挑戦そのものを妨げるルールが一律にあるわけではありません。ただし、準備の仕方は見直す必要があります。
「あのときと何が変わったか」を語れるようにする
再挑戦で問われるのは、当時との違いです。
- 社会人として働くなかで、何ができるようになったか
- 当時は漠然としていた志望動機が、どのような経験を経て具体的になったか
- ケース面接の準備を、当時とどう変えて取り組んできたか
「もう一度受けたい」という気持ちだけでは、当時からの成長を示すことはできません。
同じファームへ再応募する場合
ファームによっては、前回の応募から一定の期間を空けることを求める運用があると言われます。応募の可否や時期の目安は、エージェントや採用窓口を通じて事前に確認しておくと安心です。過去の応募履歴を伏せて臨むのは避けましょう。
不合格の原因を仮説として持つ
当時の不合格理由が開示されることはほとんどありませんが、自分なりに仮説を立てることはできます。ケースでの論点設定が浅かったのか、志望動機に一貫性がなかったのか、緊張で伝え方が崩れたのか。原因の仮説がないまま同じ準備を繰り返しても、結果は変わりにくいものです。
早期に挑戦する利点
- ポテンシャルを見てもらいやすい:実績の大きさよりも思考力や姿勢を中心に見られやすい段階にあります
- 基礎動作を吸収しやすい:前職のやり方が固まりきる前のほうが、ファームの型を素直に取り入れやすいと言われます
- その後の選択肢が広がる:早く経験を積むほど、次のキャリアを考える時期にも余裕が生まれやすくなります
- 再挑戦の機会を持ちやすい:仮に今回うまくいかなくても、経験を積んで再び挑戦するという道を描きやすい時期です
留意すべき点
一方で、早期の転職には慎重に考えたい面もあります。
- 現職で得られるはずだったものを手放す可能性:あと1年で任される予定だった役割など、目前の機会を確認しておく
- 語れる経験の厚みが薄くなる:短期間で複数回転職すると、一つひとつの経験を深く語りにくくなる場合があります
- 準備期間の確保:ケース面接の準備には一定の時間が必要です。仮に週5時間を確保するとして数か月を見込むなど、あくまで仮定の計画でよいので、時間の見通しを立てておくことをおすすめします
- 「今の職場から離れたい」が主動機になっていないか:動機の中心が逃避になっていると、面接での説明にも一貫性が出にくくなります
まとめ
20代・第二新卒での戦略コンサル転職では、実績の大きさではなく、限られた経験の中で何を考え、どう動いてきたかが問われます。小さな仕事こそ深く言語化し、ケース面接の準備を計画的に進めること。新卒時に不合格だった方も、当時からの変化を具体的に語れれば、再挑戦は十分に現実的な選択肢です。
Strategy Talentでは、経験の浅い段階でのご相談も歓迎しています。職務経歴書の書き方からケース面接の準備、応募時期の考え方まで、状況に合わせてサポートしますので、お気軽にお問い合わせください。